フランスのセレクトショップ、ザ・ブロークン・アーム(The Broken Arm)とサロモン(Salomon)が、新たなコラボレーションモデル「グロール(Grolle)」を発表しました。
華やかな都市の街並みやファッションショーのランウェイではなく、フランスの小さな村で育った若者たちの暮らしをデザインの出発点に据えた今回のコラボレーション。機能性とスピードを軸に進化してきたサロモンのフットウェアに、少し無骨でゆったりとした時間の感覚を加えました。

都市ではなく、小さな村から始まった物語
このプロジェクトの背景には、フランスの社会学者ニコラ・ルナイ(Nicolas Renahy)の著書『Les Gars du Coin』があります。フランスのブルゴーニュ地方にある村での長期調査をもとに書かれたこの本は、都市部の若者に比べて注目されることの少なかった農村部の労働者階級の若者たちの暮らしを取り上げ、地域と階級という二つの条件によって社会的関心の外へと追いやられる現実を描いています。
ザ・ブロークン・アームとサロモンは、こうした物語を出発点に、平凡な日常とその中で積み重なる時間に目を向けました。公開されたキャンペーンビジュアルも、静的なファッション写真より、草むらを横切る人々の動きや自然体の装いを中心に構成されています。
カメラに鮮明に捉えられた靴よりも、揺れる脚や足取り、古い石垣や草地の風景を先に見せる。その点でグロールは、新しいシルエットを紹介するだけでなく、履く人々の日常まで一つの物語としてつなごうとするプロジェクトといえます。


昔ながらのワークブーツとサロモンの技術が出会う
グロールの最大の特徴は、伝統的なワークブーツを思わせるレザーアッパーと、サロモンならではのアウトドアフットウェアの構造を組み合わせた点です。一枚のレザーを中心に設計したミッドカットのシルエットに、機能的なソールとラバー製マッドガードを加え、従来のテクニカルスニーカーとは異なる印象に仕上げました。
ブラックオリーブ色のレザーは、初めから均一に仕上げた表面ではなく、粗く不規則な質感を見せています。時とともに自然に生まれるしわや色の変化も、デザインの一部として受け入れるつくりです。
レザーの縁には異なる色のステッチを施し、側面には赤いサロモンのロゴを配置。ピートカラーのラバー製マッドガードと、パンプキンスパイス系のオレンジ色のディテールを組み合わせ、暗いレザーの上に素材と色のコントラストを生み出しています。

靴ひもの仕様にも違いが見られます。XT-6をはじめとするサロモンの代表的なスニーカーに採用されるクイックレースではなく、一般的なシューレースと金属製フックを使用。刺繍で仕上げたアイレット、シュータンのグラフィック、小さなカラーディテールを加え、クラシックな登山靴の形を強調しています。
特に白い靴ひもは暗いレザーと鮮やかな対比をなし、靴の前面の構造を際立たせます。異なる素材をつなぐステッチや外側に見える仕上げは、装飾を最小限に抑えるというより、靴のつくりそのものをデザイン要素として生かしたものといえます。


レザーアッパーがヴィンテージのワークブーツを思わせる一方、靴の下部にはサロモンのアウトドア技術が息づいています。つま先と側面を覆うラバー素材、立体的なヒール構造、深いラグパターンを備えたコンタグリップ(Contagrip)アウトソールには、単なるレトロなデザインにとどまらず、ブランドの機能性を維持しようとする姿勢が表れています。
こうした構成は、レザーブーツとトレイルシューズの境界を曖昧にしながらも、それぞれの特徴を失っていない点で興味深い。見慣れたサロモンの機能的な構造が、まったく異なる素材と組み合わさることでどう変化するかを示す一例でもあります。

新品のときより、時を経た姿が楽しみなシューズ
今回のコラボレーションで重要なのは、単に古びた靴に見えるようデザインしたことよりも、時間とともに変化するレザーの特性を製品の一部として受け入れた点です。
一定の形や色を長く保つ機能性素材とは異なり、レザーは使用環境や手入れの仕方によって、表面の質感やシワ、色合いが少しずつ変わります。そのため、履く人ごとに異なる姿へと変化する余地があります。
これは、フランスの農村部の若者たちの日常から生まれたコラボレーションの背景ともつながります。履き始めたときよりも、時を経てから多くの物語を宿すという点で、グロールのデザインを理解するうえで重要な要素です。

11月4日発売予定
Salomon × The Broken Armのコラボレーションモデル「Grolle(グロール)」が、2026年11月4日に発売予定です。なお、米国内での正式な発売日および販売価格については、現時点で発表されていません。
サロモンの代名詞ともいえるテクニカルなランニングシューズとは一線を画す今回のモデルは、アウトドアシューズならではの機能的な構造に、ヴィンテージのワークブーツを思わせる無骨なデザインを融合させた一足。履き込むほどに風合いが増すレザーの経年変化も魅力で、従来のサロモンとは異なるスタイルを求める人にとって、新たな選択肢となりそうです。
製品情報
- 製品名:Salomon × The Broken Arm Grolle
- 製品コード:L45536400
- カラー:Black Olive / Peat / Pumpkin Spice
- 発売日:2026年11月4日(水)
- 韓国での価格:€210.00











