釜山北港を全国的な観光名所にしたサメ「ブカンイ」が、33日ぶりに人工水路を出た。
海洋水産部や釜山市などの関係機関は10月21日、3度目となる海への帰還に向けた誘導作業を行った。同日午後6時ごろ、釜山港第1埠頭沖でブカンイの姿が目撃され、1カ月以上に及んだ水路での滞在にひとまず区切りがついた。
9月18日に初めて姿を現してから、釜山市の名誉広報大使に任命され、161万人を超える来訪者を集めるまで。1匹のサメが残した記録は、予想をはるかに上回るものだった。
都心に現れた全長3メートルのサメ、釜山の名物に
9月18日、釜山市東区の北港親水公園の人工水路に全長約3メートルのサメが現れたとの知らせが広がると、釜山だけでなく全国から、このサメを見ようと市民が次々に訪れ始めた。
当初、正確な種類が分からなかったサメは、国立水産科学院による映像の詳細な分析を経て、10月6日に雌のクロザメと確認された。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種(EN)に分類される種であることも分かった。
市民たちは釜山北港で見つかったサメという意味を込めて「ブカンイ」と親しみやすい名前を付けた。釜山市は9月29日、ブカンイを名誉広報大使に任命し、市民の関心に応えた。

33日間の累計来訪者が161万人を突破
ブカンイの影響力は、実際の来訪者数にも表れた。
釜山市施設公団が9月19日から集計した北港親水公園の来訪者数は、秋夕(チュソク)の連休中だった9月24日に10万1000人、25日に13万6000人、26日に14万人を記録し、急増した。
連休後も来訪者は途絶えず、10月17日と18日にはそれぞれ5万9000人と5万7000人が公園を訪れ、10月18日時点の累計来訪者数は161万2800人を記録した。
ありふれた親水公園にとどまっていた1匹の野生のサメが、ソーシャルメディアを通じて知られ、釜山に新たな観光名所を生み出した。

飲食店の売り上げ29.3%、コンビニの売り上げ35%増加
ブカンイを見ようと訪れる人々の増加は、周辺商圏での消費拡大にもつながった。
釜山市がブカンイの出現前後それぞれ10日間について、親水公園から半径1キロ以内のカード決済による消費を分析したところ、飲食店の売り上げは29.3%、コンビニの売り上げは35.0%増加した。他地域からの来訪者によるカード利用額と決済件数も、それぞれ22.4%、32.5%増えた。
個別のコンビニでも同様の傾向が見られた。CUが9月19日から27日までの親水公園近くの5店舗の売り上げを分析した結果、直前の同じ日数の期間に比べ、平均売上増加率は76.7%に達した。
ブカンイを連想させる商品も人気を集め、同じ期間に釜山市東区のCUではジョーズバーの売り上げが54.7%、クジラ飯が29.0%、赤ちゃんザメ関連の商品が45.6%増加した。全国のCUでも、これらの商品の売り上げはそれぞれ26.5%、18.9%、23.5%増えたと集計された。
もちろん、これらの数字は調査期間中の消費の変化を示すもので、増加分のすべてをブカンイ1匹の影響と断定することはできない。それでも、観光客の増加と地域消費の活性化が同時に見られた点には意味がある。

2度の失敗を経て、3度目の誘導作業
ブカンイの人気が高まる一方で、関係機関の懸念も深まった。
人工水路という限られた環境と秋の水温低下でブカンイの健康を心配する声が強まる中、関係機関は9月29日にウォーターポンプを使った1度目の誘導作業、10月2日に網を使った2度目の誘導作業を行ったが、いずれも成功しなかった。
その後、当局はブカンイが自ら海へ出ていくのを待った。しかし、気温と水温が下がり続け、死に至るリスクが高まる可能性を考慮し、10月21日に3度目の誘導作業に踏み切った。
今回の作業には、水上作業用の浮体設備であるポンツーンや大型の網、潜水士らが投入された。関係機関は、ブカンイが以前よくとどまっていた第4~5歩道橋付近からマリーナブリッジの方向へ移動するよう誘導した。
午前10時ごろに始まった作業は約8時間続いた。午後6時ごろ、水路の外にある釜山港第1埠頭沖でブカンイが目撃され、3度目の誘導作業はひとまず成功に終わった。

水路は出たが、旅はまだ終わっていない
ブカンイが水路の外へ移動したことは確認されたものの、最後に目撃された第1埠頭沖は、外洋とは区別される海域だ。
関係機関は、ブカンイが再び水路内に戻れないよう遮断幕を何重にも設置し、水深がより深く、水温変化の影響が比較的小さい外側の海域へ移動できるよう、状況を見守る方針だ。
釜山市は、ブカンイの滞在中に寄せられた市民の関心を記憶に残すため、親水公園に記念スペースを設ける案も検討している。
1カ月以上にわたり、人々が北港を訪れる理由となったブカンイは、大勢の来訪者を呼び、地域の商圏にも変化をもたらした。だが今、最も大切なのは、野生のサメが本来の環境で安全に生きていくことだ。
ブカンイ、これまで楽しい時間をありがとう。もっと広い海で元気に過ごしてね。














